家自体の悪さだけではない。民間借家の家主は老人に家を貸すことを好まない。その理由は、二年おきの家賃値上げに応じない、火を出す危険がある、いつの間にか死んでいて家主が葬式を出さねばならないかもしれない、等々である。だから契約更新に際して立ち退きを求める家主がいる。老人は安心して住むことかできず、ノイローゼになる人もいる。老人は、長く住み続けた勝手知ったる家と地域の中で、顔見知りの隣人と住むことを幸せと考える人が多い。
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地域福祉とは、地域の中で住み続けられることが基礎であるといってよいだろう。高齢化社会を迎える日本にとってこの課題はいよいよ大きくなっている。以上のように、住居は健康と福祉の基礎である。住居の貧しさを放置しておいたのでは、社会保障もやがて成り立たなくなるだろう。民生費や医療費が国家財政の大きな割合を占めるようになる一方で、その削減が政府によって進められ、実質的な健康と福祉を守ることは困難になるだろう。だから、公衆衛生を中心とした都市環境整備に投資を行なうことのほうが社会全体にとっては健康を守るためにむしろプラスなのである。