バルコニーも居心地のいい空間になりうる。日本の多くのマンションは、南側に一メートルの幅でべたっとついている。そこにはエアコンの室外機や洗濯機、乾燥機などが置かれ、どこかビルの機械室のような殺伐とした空間になっていることが多い。冬などは寒々としている。一メートルの幅では狭すぎるのである。せっかくの南側の空間がまったく生かされていないのだ。避難通路という位置づけになっているために、鉢などを置いたりすることができないというケースもある。一メートルという幅を一・八メートルに広げればとたんに使える空間になる。簡単な話、そこに座ることができる。ビールも飲める。食事もできるかもしれない。建物全体に一・八メートルの幅がなくてもいい。一部でいいのだ。バルコニーの一部にせめて一・八メートル四方のスペースがあれば、ずいぶん違ってくるだろう。そこに住む人によって使い方はいろいろな楽しい外部空間になる。そしてそういうスペースがある建物の外観はとても楽しいものになるだろう。外から見ただけで、住んでみたいと思わせることができるかもしれない。たしかに贅沢である。そのバルコニーのスペースをつくるためにコストがかかるかもしれない。現在の法律では、一メートル以上の幅があると建ぺい率の中に入れて計算しなければならない。だが、短期のコスト重視、経済優先の規格からは、人間にとって心地よい空間は決して生まれないのだ。そして、長期のコスト計算をすれば、この心地よいバルコニーという空間が入居待ちの行列をつくることになったりする。
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